以前から乗車してみたいと思いながら、なかなか実現せずにいた花輪線への乗車。
今回全線乗車(それも一日で往復するという強行軍)することができたので報告したい。
朝の大館駅で併設のコンビニで朝食のおにぎりとお茶を買い込み、大館発盛岡行き2両編成キハ110系に乗り込む。
娘と2人で4人掛けボックス席を確保したが、乗り込む客は少なく1両目2両目とも3,4名程度であった。列車は6:36の定刻に出発した。
大館駅を発車して次第に奥羽線とそれながらオーバークロスして進行を南から南東方向に変えて、東大館、扇田、と乗客を数名ずつ乗せて大滝温泉で最初の列車交換。荒屋新町5:37発の一番列車は大館への通勤通学客を乗せて結構埋まっていた。筆者の乗車する2号車にも若い親子連れが祖父らしきお年寄りに見送られて乗車し、少しにぎやかになる。
沢尻駅周囲では線路と米代川の間のわずか10m程度の土地が畑や墓地に利用されていたのが印象的だった。列車は末広駅から北に進路を変えて7:15に十和田南駅に到着。ここはスイッチバック方式の駅で、既に到着していた大館行きがこちらの到着を待って7:16に出発。ポイント交換もあり、10分ほどの停車時間があるため、ホームに降りて撮影した。
7:25に進行方向を変えて再出発。鹿角花輪駅に3分間停車し、ここで盛岡5:41始発の一番列車と3回目の列車交換をする。朝の通勤通学時間ということもあり、意外なほどにぎやかなダイヤ編成となっていると思えた。
次の陸中大里駅は秋田県だがこの地がかつて陸中の国に属していたことを物語る。八幡平駅からは湯瀬渓谷に入り木々と渓流の間を進んでいく。かつて撮影したポイントを車中から観察するのも参考になる。あいにくの雨模様で、笠松峠でもカメラを構える人影はなかった。5時起きで緊張感もありそれまでは食欲もなかったが、やっと空腹を覚え、車窓の新緑を眺めながら朝食をとった。ボックス席では窓際をテーブル代わりに飲み物を置けるのでありがたい。
湯瀬温泉を過ぎ、兄畑からは県境を越えて岩手県となる。国道282号線と湯瀬渓流、花輪線がからみあうように何度かクロスしながら、田山、横間と進んで行く。東北自動車道からは見慣れた風景を低いアングルから眺めるのもなんだか興味深くて新鮮だった。荒屋新町にはかつての蒸気機関車の転車台が残っており車窓からどうにか写真に収めることができた。
東北自動車道が安代JCTでほぼ直角に進路を変えるのと同様に、花輪線もここで東から南に進路を変えて、小屋の畑、赤坂田と安代の集落内の駅を進んでいく大場谷地峠のトンネルを越えると安比高原駅だ。目の前の竜ヶ森スキー場跡は岩手山を俯瞰する有名な撮影ポイントだが、かつて私が訪れたときよりもさらに灌木が生い茂って登山が難しくなってきた印象を受けた。目を凝らして山頂に撮影者の人影を探したが見当たらないようだった。現在ではゴルフ場で賑わっているのだが、駅舎そのものは簡素で古びている。花輪線でゴルフに訪れる客はどのくらいいるのだろうか。
盛岡行きでは安比高原~松尾八幡平間は下り勾配で迫力がないが、帰路に乗車した際にはエンジン音を高めながら時速40kmで最大勾配33.3‰を駆け上っていったのが印象に残る。運転席のすぐ後ろにかぶり付きで眺めてしまった。
八幡平市に入り、北森、平舘では朝の通勤通学時間と重なりいつの間にか少しずつ乗客が増え始める。
あいにくの小雨模様だが、岩手山がうっすらと見えていた。
ロングシート部分は満席となり好摩に付くまでには吊革につかまって立っている人も見え始めた。4人掛けのボックス席を2人で占領しているのが段々申し訳なくなり、荷物を片付けて棚に上げ、席を譲る状態にしたが、近距離利用のお客さん達は暗黙の了解でもあるかのように、ボックス席の方にはやって来なかった。
好摩駅に到着して花輪線は一応終点となる。ここからは第3セクターの岩手銀河高原鉄道となるが、大館発の花輪線列車のほとんどはそのままIGRいわて銀河高原鉄道に乗り入れてそのまま盛岡をめざす。IGRはまさしく並行在来線そのもので高架の新幹線と並んで走っている。好摩~盛岡間は別料金で630円とJRよりもやや割高であるが、盛岡との行き来で利用率は高そうである。車内の雰囲気もローカル線から急に都市近郊の電車様に変化して、だらっと旅行気分で乗っているのが気恥ずかしくなる程であった。
列車は寸分の遅れもなく定刻の9:33に盛岡駅0番線に到着した。2時間57分の長旅の余韻にひたる余裕もなく私は娘の手を引き盛岡駅JR在来線乗り場へダッシュしたのであった。
乗り終えて思うこと
キハ110系は薄い緑色のボディーカラーとあまり変哲のない形から、(写真に撮っている限りは)あまりさえない印象を持っていたが、実際に乗車するとセミクロスシート(乗降口近くはロングシート、中央部は4人掛けのボックスシートと2人用の対面シート)で通路を広くとってあり、長時間乗車の客もくつろげると同時にラッシュ時の立ち席客増加時にも対応するようにつくられており、なかなか感心した。
今回の往復乗車ですっかり気に入ってしまった。トイレは2両目のみに設置されているが、普通列車のトイレとしては清潔で使い心地もわるくなかった。もちろんトイレットペーパーも備えてある。(長時間乗車時にはトイレは大切でしょう)
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